過疎化対策の方法20選!4つのテーマ別に全国の施策事例を紹介

更新日:2026/06/15

この記事でわかること
  • 過疎化が地域にもたらす影響と課題
  • 移住促進や雇用創出の成功事例
  • 地域コミュニティを再生する施策の実例
この記事の監修者:元親

観光地や施設を、日本で一番ワクワクする遊び場に変えたい!そんな想いで、その土地だけの魅力を「遊び」で引き出します。

目次

日本では過疎化が大きな問題になっています。都市部への人口流出に加え、少子高齢化により、基礎的な生活条件を維持できない地域が増大しました。現在、日本における市町村の約半分が過疎地域となっているのです。過疎化対策は、日本全体にとっても極めて重要です。

本記事では、国や自治体における過疎化対策について、実例をもとに20パターンの過疎化対策の方法を紹介しま

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過疎化問題の本質

過疎化は単に人が少なくなるだけの問題ではありません。その核心は、人口減少によってさまざまな悪影響が生じることです。

【過疎化で引き起こされる問題】

  • 産業や経済の衰退
  • 公共サービスの質低下
  • 公共施設の維持困難
  • 医療不足
  • コミュニティの消滅
  • 害虫・害獣の被害拡大
  • 自然の管理不足が災害発生につながる

このように、過疎化によって地域の生活や社会が機能しなくなります。したがって、過疎化対策とは、ただ人口を増やすだけではなく、地域の機能を維持できる仕組みづくりや地域の活性化も念頭に置いて取り組む必要があります。

そういった前提を踏まえ、過疎化対策の方法について、5つの観点からまとめました。

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過疎化対策の方法その1.移住

「移住」は過疎化対策の基本ともいえる施策ですが、成功させるためには、地域社会との関係づくりなど、受け入れ側の体制が重要になります。

地域おこし協力隊―全国

地域おこし協力隊は、総務省が行う移住促進制度です。人口減少や高齢化が進む地域に移住を希望する人材(協力隊の一員)を受け入れてもらい、地域活性化の役割を担います

協力隊員の任期は1~3年間ほどです。期間中は、地域産業への従事、地元特産物を用いた商品開発、住民の生活支援などの地域協力活動を行います。つまり、町おこしや村おこしの事業に携わるイメージです。

地域おこし協力隊の制度は全国各地のさまざまな自治体で実施されており、細かな内容はそれぞれの地域によって異なります。2025年度の協力隊員数は全国で8000人を超え、近年では任期終了後の定住率が高まってきているようです

移住体験―島根県海土町

島根県海土町は、隠岐諸島のひとつ、中ノ島にあります。本州から高速船で約2時間の場所にある離島です。ここで、3ヵ月または1年間の短期就業体験「大人の島留学」という移住促進の取り組みが実施されています。

島で働くことを前提にした短期移住プロジェクトです。さまざまなコースを用意し、参加者に合った方法で仕事のマッチングを行っています。参加者は年々増加し、いまでは100人を超える規模に。任期終了後も町に留まる「定住」につながるケースもあります。

移住コンシェルジュ制度―長野県

移住コンシェルジュとは、移住や二地域居住者をサポートする窓口です。希望者やすでに住んでいる人に対して、困りごとや相談を受けながら、それを解決するためにさまざまな対応を行います。

長野県では、さまざまな市町村に移住コンシェルジュの拠点を構え、手厚くサポート。場所によって支援内容が異なることもありますが、空き家バンクなどの住宅情報や子育て支援の情報提供、就職相談、補助金・支援制度の紹介などの対応が可能です。積極的に移住促進施策を行っている長野県は「移住ポータルサイト」も立ち上げています。

参考:長野県の移住ポータルサイト楽園信州

移住者向けシェアハウス―高知県仁淀川町

高知県の山奥に位置する吾川郡仁淀川町には、本格移住を希望する人や移住体験ができる一時滞在施設としてシェアハウスが用意されています

運営するのは一般社団法人「山茶小屋」。「シェアハウス山茶山荘」「シェアハウス仁淀川」の2物件があり、1週間以上1年未満までの契約です。水・光熱費は家賃に含まれている、駐車場無料など、費用を押さえながら移住の検討を行うことができます。月1回、移住者同士が集まる交流会も行われているようです。

移住×農業―熊本県南阿蘇村

熊本県南阿蘇村では、移住と農業をセットにした地域振興施策が行われています。新規就農に向けた取り組みで、農業に関する知識や技術、経験がない人でも農業に従事することが可能です。

まずは3日ほどの農業体験からはじまり、1~2年の研修を経て独立・農業法人に勤めるといった流れになります。就農支援金をはじめ、ハウスや肥料、農地などの補助金も充実しており、不安を軽減しながら農業に取り組めるでしょう。

過疎化対策の方法その2.雇用創出・産業振興

「仕事」は、過疎化対策において非常に重要な要素です。移住してきても仕事がなければすぐに離れてしまうでしょう。過疎化を解消するためには、新たな雇用を創り出す必要があります。地域に根づいた産業があれば、それを活用して規模を拡大していく方法も有効です。

サテライトオフィスの誘致―徳島県神山町

徳島県神山町では、空き家となって放置されている古民家や遊休施設をサテライトオフィスとして活用する施策を行っています。

もともと徳島県はケーブルテレビの普及率が全国1位で、このブロードバンド環境を活かし、IT企業を中心にサテライトオフィスの誘致を展開。事務機器や通信回線使用料、施設改善などに対する費用について助成金を設けたこともあり、多くの企業が神山町やその近隣などに進出し、サテライトオフィスだけでなく本社移転や新会社設立にもつながりました。

A級グルメの町づくり―島根県邑南(おおなん)町

豊かな自然が育む地域資源を活用し、地方創生事業を展開したのが島根県邑南町です。

地方で流行していたB級グルメに対抗した「A級グルメ構想」を打ち立て、地域が誇る高品質の野菜や牛肉を使った食材を提供する地産地消のレストランを立ち上げるなど、「食」と「農」に特化した施策を行っています。さまざまな情報発信の効果もあり、観光客・移住・企業誘致などで大きな成果をもたらすことにつながりました。

6次産業化推進―長野県東御(とうみ)市

6次産業とは、1次産業にあたる農業と2次・3次産業を連携、融合させ、地域農産物に新たな付加価値を創り出す取り組みです。

長野県東御市では、地域の特産物であるブドウを活かしたワインで町おこしを展開。小規模事業者でも酒造免許を獲得できる「ワイン特区」に認定されました。その結果、この地域に小規模のワイナリーが集結し、「千曲川ワインバレー」を形成。ワインでの使用はもちろん、食用ブドウも盛り上げる農業の振興やワインツーリズムを中心にした観光の促進が図られています。

参考:財務省財務局長野財務事務所「長野県東御市による「千曲川ワインバレー」形成の取り組み(PDF)

城下町のリノベーション―愛媛県大洲市

愛媛県大洲市では、空き家となった歴史的建造物や古民家を改修し、お店やカフェ、ホテルなどに利用したリノベーションまちづくり事業が民間主体で行われました。この取り組みの象徴ともいえるのが「大洲城キャッスルステイ」、日本初となる城の天守に泊まれるサービスです。

また、地域活性化を推進するための組織も充実しています。資金面で支援する「大洲まちづくりファンド」、プロジェクトやイベントを企画運営するプラットフォーム「大須カンパニー」、若者の雇用を増やす「地域共創コンソーシアム大洲」など、官民で連携しながら町全体で過疎化対策を行っている事例です。

複業人材の受け入れ―長野県塩尻市

長野県の塩尻市役所では、地域における人材不足の解消を図るために、限定した条件で外部から優秀な人材を募集する取り組みが行われました。

  • 3ヵ月の業務委託
  • 稼働は月4日以内
  • リモートワーク可
  • 副業限定

最初の施策では上記のような条件で特任最高マーケティング責任者と特任最高人事責任者の2つ。それが「MEGUMUプロジェクト」として7人の執行役員にスケールアップし、行政・経営支援機関・金融機関・大学・民間企業が連携する「塩尻の人事コンソーシアム(地域の人事部)」を組成するまでに発展しました。

この地域の人事部では、地域の企業とフリーランスや副業・兼業で活躍する人材を結びつける「複業マッチングプログラム」などを展開しています。

過疎化対策の方法その3.子育て・教育の充実

若い世帯にとって、子育てや教育面での環境は移住・定住の決定において大きなウェートを占めます。子どもを育てることに不安がないことは、過疎化対策の重要な要素のひとつです。子育てや教育を充実させる施策も多く行われています。

高校魅力化プロジェクト―島根県隠岐の島

高校魅力化プロジェクトは、以下のビジョンを掲げ、島根県の教育委員会が学校や地域が協働して取り組んだ施策です。

  • その地域、学校でなければ学べない独自カリキュラム
  • 学力・進学保証をする公営塾の設置
  • 教育寮を通じた全人教育

島根県立隠岐島前高校からスタートしました。日本各地から入学者を募る「島留学」や地域住民が留学生を支援する「島親制度」、地域課題にチームで取り組む解決型の探究学習、学校と地域が連携して運営する「隠岐國学習センター(公立塾)」などの取り組みがモデルケースとなって、この施策が全国に展開しました。

このプロジェクトは、地域の活性化、子育て世代の移住、人口増加につながっています。

地域留学制度―全国

住んでいる地域の枠を超えて、日本各地にある公立高校へ進学できる国内留学制度があります。それが「地域みらい留学」です。離島や山間地域の高校を存続させるための施策として、国の支援事業となっています。

3年間の留学以外にも、高校2年生の1年間限定となる「地域みらい留学365」や中学生に向けた1泊2日の「おためし地域留学」などもあり、子どもが移住や地方の文化に興味を持つ機会にもなりそうです。

参考:文部科学省全国高等学校教育改革研究協議会「高校生の「地域留学」の推進のための高校魅力化の支援について」(PDF)

保育士支援―長野県松本市

長野県松本市では、子育て環境の充実のために保育士を支援する施策を行っています。長野県内でも待機児童の多い松本市は、保育士移住支援事業として県外からの保育士を対象に家賃を補助する制度を展開。最大12ヵ月で月5万円が支給されます。

ほかにも、民間事業者が小規模保育事業を開設する際に発生する、建物の新築や改修の費用を補助する制度もあるようです。

小規模校の複式学級改善―北海道

僻地や小規模の小中学校が増える北海道では、2つ以上の学年を1つの学級として編成する複式学級における学習指導や授業の方法について理解を深めるための研修を実施しています。

異なる学年を教えることの難しさや少人数の学級に対する指導の仕方などについて、現場の教員にレクチャーし、地域性による教育の質を低下させないための取り組みです。

放課後児童クラブの延長―福井県福井市

学校が終わってから親が帰宅するまで児童を預かってくれる放課後児童クラブ。近年の社会情勢が影響してか、18時半を超えても開いているクラブが全体の6割を超える水準になっています。

そんななかで、福井県福井市にある放課後児童クラブふくみでは、新しい形の学童保育として運営を行い、夜は19時半まで預けることが可能です。運営するのはサッカークラブの福井ユナイテッドとNPO法人で、文化・スポーツ・学習などを提供する多機能複合型の放課後児童クラブとなっています。

過疎化対策の方法その4.地域コミュニティの再生

地域の活性化を目指す手段として、地域コミュニティに着目した施策が展開されるケースもあります。強固なコミュニティを形成できれば、人口が減少しているなかでも地域の持続を期待できるでしょう。居場所つくりが地域コミュニティ再生のポイントになりそうです。

地域通貨―長野県飯田市

長野県飯田市では、デジタル地域通貨の実証実験が行われました。限定された地域で流通する通貨として、市の事業やイベントの参加で付与される「地域ポイント」が飯田市の加盟店で買い物に利用できるという取り組みです。

地域ポイントは、市内で使用されている「ふくまるくんカード」という独自のポイントカードでやり取りします。人や地域のつながりを強化することが目的で、市内消費の拡大や地域事業者の活動促進など、地域における経済の循環に効果を発揮することが期待されます。

まちづくり会社―岩手県紫波町

岩手県の小さな町で、公民連携でまちづくりを行う「オーガルプロジェクト」が始まりました。行政が土地を確保し、民間で資金調達と事業運営を行う方法の先駆けとして注目された施策です。

駅前の土地(オーガル地区)を整備し、分譲住宅地、庁舎や市民センター、保育園、複合商業施設、サッカー場やバレーボール専用アリーナなどを建設。生活や文化、経済が密集するコンパクトな機能性あふれる町が誕生しました。

交流人口年間100万人、雇用創出250人、周辺定住人口600人超と成果が数字に表れ、全国から視察が訪れるモデルケースとして認知されています。

参考:内閣府民間資金等活用事業推進室「紫波中央駅前都市整備事業(オーガルプラザ)」(PDF)

空き家再生―兵庫県丹波篠山市

兵庫県丹波篠山市は、増加する空き家を活用し、二拠点住居やリモートワーカーを招致する事業を展開しています。移住施策や空き家対策などの課題をワーケーション推進の取り組みにつなげる施策モデルです。

空き家の売却や賃貸を希望する所有者と空き家の購入・賃貸を希望する人をマッチングさせる「空き家バンク制度」も行っています。

地域ボランティアポイント制度―福井県

福井県では、ボランティア活動を行った際にポイントを付与する制度が実施されています。すべてのボランティア活動がその対象となり、活動1回につき1ポイント(原則1日1ポイント)を発行。10ポイント貯まれば、活動証明書がもらえます。

この証明書は、博物館や美術館などの無料閲覧が可能となるほか、取り組みに協賛する企業で特定のサービスを受けられるのです。

地方行政の推し活―島根県

地域や地域住民と関わる人々、いわゆる「関係人口」と地域づくりを展開する取り組みは全国各地で行われています。

島根県では、関係人口にかかる事業をスタートさせ、地域に住んでいない人や団体の構成員ではない人も地域活動に参加できる、しまね関係人口マッチング・交流サイト「しまっち!」を開設しました。各団体が主催者となってイベントなどを手伝ってくれるサポーターを募集し、参加してもらいます。

福祉・ボランティア活動や文化保護伝承イベントなど、地域の維持に重要な活動を支える新たなコミュニティづくりの施策です。

まとめ

過疎化対策について、実例をもとにした具体的な方法20選を紹介しました。日本の社会問題として重要なテーマとなる過疎化は、さまざまな悪影響を地域に引き起こします。単なる人口減少の対策だけでなく、複合的包括的な手法が求められるのです。

  • 移住促進
  • 雇用創出
  • 子育て・教育の充実
  • 地域コミュニティ再生

上記4つのテーマについて、国や自治体が行った施策について掘り下げました。地域機能の維持・活性化につながる重要な成功例が揃っています。過疎化対策の方法を考える際は本記事の内容をご活用ください。

最後までお読みいただきありがとうございます。記事で紹介した手法を地域の課題解決に活かすための、実践的なプロモーション資料や相談窓口をご用意しています。

この記事を書いた人

あそぶ編集部

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