IPコラボとは、他社のIPとライセンス契約を結び、他社のIPを活用して、共同で商品を開発し、プロモーションを行うことを指します。効果的にIPコラボを行うことで、大きな売上アップやイメージアップにつながり、メリットは非常に大きいと考えられています。
本記事では、IPコラボの概要、メリットやデメリット、成功事例の紹介、IPコラボ実施の流れや成功させる方法を紹介します。
IPビジネスとは?

IPコラボを成功させるには、まず前提としてIPビジネスがどのようなものか、しっかり把握する必要があります。
IPビジネスとは、「Intellectual Property」の略です。「知的財産」のことを指します。知的財産とは、文章や絵画、アニメ、映画などの創作物や、機械や技術などの発明のことで、これらの中には、利益を生み出す財産的に価値があるものが数多くあります。こうした知的財産を活用したビジネスがIPビジネスです。
知的財産には、著作権、特許権、意匠権、実用新案権、商標権があります。IPビジネスとして代表的な文芸や海外、音楽や映像などは著作権にあたり、創作された瞬間から生まれ、著作者の死後70年間まで保護されています。
IPコラボレーションとは
昨今では、“コラボ”という言葉をよく耳にするようになりました。コラボレーションとは、協力、共同を意味しています。異なる組織や、2人以上の個人が協力して共通の目標を達成したり、新たな何かを作成したりする活動を意味します。特に異なる専門分野で互いに協力し合うことに対して、コラボレーションと呼ばれることがよくあります。企業間においては、お互いに知見やリソースを持ち寄ることで、イノベーションのような大きな成果につなげることも可能です。
IPコラボとは、他社のIPとライセンス契約を結ぶことで、他社のIPを活用して、共同で商品を開発したり、プロモーションを行ったりすることを指します。漫画、アニメ、ゲーム、キャラクターなどが、たとえば、お菓子や洋服のデザインになったり、店のキャンペーンに登場したりします。
最近では、以前よりも様々な業種でIPコラボが活用されるようになり、マーケティング戦略の一環として注目されています。
IPコラボのメリット

IPコラボによって、企業には以下のようなさまざまなメリットがあります。
- 売上増加につながる
- 商品やサービスの認知度の拡大に貢献する
- 企業のブランドイメージが高まる
- 新たな顧客を獲得し、海外市場に展開できる
一つずつ解説します。
売上増加につながる
IPコラボの最大のメリットは、通常よりも売上増加につながることです。IPコラボしていない商品とは異なり、IPコラボ商品の場合は、IPのファンが購入してくれます。さらに、その商品がある一定の期間しか購入できない期間限定商品であったり、コレクションアイテムとして価値があったりすれば、売上はかなりアップするでしょう。
また、数種類のコラボ商品を販売すると、多くのファンがすべての商品を購入したいと考えます。そのため、短い期間で、売上が増加します。
商品やサービスの認知度の拡大に貢献する
魅力的な商品やサービスであっても、多くの人に手にとってもらわなければ、売上にはつながりません。そこで、IPによるマーケティングが実施されます。たとえば。今までは40代以上には人気があった商品でも、20代以下にはほとんど認知されていないという場合は、20代に人気のIPとコラボすることによって、20代の顧客を得られる可能性が高まるでしょう。
そして、人気のあるキャラクターとのコラボは注目度が高いため、他のマーケティング手法よりも、短期間で多くのファンを獲得できる可能性が高いです。結果的に、その商品やサービスの認知度は拡大します。
企業のブランドイメージが高まる
IPコラボは売上につながるだけではなく、商品やサービスや企業そのものに対して、ポジティブなイメージを与える可能性があります。人気のあるキャラクターやアニメなどは、顧客に対して、「○○とコラボしていた会社ね」と特別な親しみを感じさせるなど、イメージアップにつながるでしょう。
また、これまで芸能人やスポーツ選手などがイメージキャラクターを務めることもよくありましたが、彼らには不祥事や炎上のリスクがあります。IPコラボの場合、そうしたイメージダウンのリスクは低いこともメリットといえます。
新たな顧客を獲得し、海外市場に展開できる
IPコラボによって、これまで店頭に並んでいてもスルーされていた商品も、目に留まるようになり、新たな顧客獲得につながります。はじめはIP自体が目当ててあっても、商品が気に入って顧客になるケースも少なくないでしょう。
また、海外の認知度の高いIPを活用すれば、海外市場にも参入しやすくなります。そうなると、国内とはくらべものにならない、広い海外市場で一気に売上を伸ばす可能性もあります。
IPコラボのデメリット

商品やサービスだけではなく、企業全体にとってメリットの多いIPですが、以下のようにデメリットもあります。
- 人気の高いIPは使用料が高額
- 人気の高いIPはレギュレーションが厳格
- 商品やサービス、企業のイメージダウンにつながることがある
一つずつ解説します。
人気の高いIPは使用料が高額
商品やサービスの売上を考えれば、できるだけ人気の高い、知名度のあるIPを活用したいと考えるでしょう。しかし、IPを活用するにはライセンス料が必要であり、人気の高いIPの場合、最低限度支払う必要のある使用料は高額です。一般的なキャラクターは400万円~ですが、大人気キャラクターは2,500万円~といわれています。使用料を支払ったうえで、売上を上げられるかどうかが問題になるでしょう。
人気の高いIPはレギュレーションが厳格
IPにはそれぞれ守るべきイメージがあります。それは、IPの世界観を崩さないために、必要なことです。そのため、ライセンス料を支払ったとしても、IPが定めるレギュレーションを厳守しなくてはいけません。人気の高いIPであればあるほど、レギュレーションは厳しく、レギュレーションを逸脱した活用は許されないため、使いにくいと感じることもあるかもしれません。
商品やサービス、企業のイメージダウンにつながることがある
IPの活用で注意したいのは、商品やサービス、企業と親和性があるかどうか確認することです。場合によっては、IPを使うことが逆効果になる可能性もあります。商品やサービスとIPがお互いにイメージアップになる組み合わせを考える必要があるでしょう。
IPコラボの実例

実際にIPコラボはどのように行われているのでしょうか。実例を紹介します。
ちいかわ×阪急電鉄
「ちいかわ」は、SNS発の漫画で、作者はイラストレーター・ナガノです。ちいかわは、これまでさまざまな企業とコラボしています。イトーヨーカ堂、東京スカイツリー、阪急電鉄もそのひとつです。神戸・宝塚・京都線ではラッピング列車が運行され、外観だけではなく、車内もちいかわ用の特別仕様になりました。その他に、沿線の飲食店や菓子店でもコラボ商品を販売し、スタンプラリーを開催、キャラクターが阪急電鉄の制服を着た限定グッズが人気を集めました。
ポケモン×ユニクロ
ポケモンは世界で最も収益の高いキャラクターIPです。日本だけではなく、世界的にも人気が高く、JTB、花王、日清、森永乳業などの企業だけではなく、複数の地方自治体ともコラボレーションしています。
ファッション関係のコラボ商品も人気で、コスメブランドやユニクロなどのアパレルでも人気を博しています。ポケモンだけではなく、現代アーティストによるデザイン企画も実施されており、企業ブランドのイメージアップにつながっています。
鬼滅の刃×くら寿司
一世を風靡した大人気漫画である「鬼滅の刃」。さまざまな商品やサービスの売上アップに貢献しています。築地銀だことのコラボの際は、コラボメニューやグッズの販売により、売上が9か月ぶりに前年同月比100%超を記録しました。くら寿司とのコラボの際は、皿回収ポケットに皿を投入することでできるゲームに人気キャラクターが登場してファンを喜ばせました。
呪術廻戦×ファミリーマート
「鬼滅の刃」と同じく大人気漫画であり、アニメも人気の「呪術廻戦」。東京スカイツリー、よみうりランドなどとのコラボレーションがあげられます。ファミリーマートとのコラボレーションでは、おむすび、ドリンク、ドーナッツなどの、キャラクターをモチーフにした商品を販売し、人気を集めました。さらに、アプリでのオリジナルグッズが当たるキャンペーンが展開されました。
ワンピース×ミンティア
30年に迫る勢いの長寿漫画であり、長期に渡りファンに愛され続けている「ワンピース」。西日本旅客鉄道、JTBパブリッシング、味の素、日本航空など、著名な大企業とのコラボレーションが数多く展開されています。ミンティアとのコラボでは、映画の公開に合わせて、SNSを使ったグッズや映画鑑賞券が当たるキャンペーンも行われました。
IPコラボ実施の流れ

さまざまな企業がIPコラボによって大きな収益を上げ、商品やサービス、自社のブランドイメージを高めています。実際にIPコラボはどのように実施すればいいのでしょうか。基本的な流れは以下の通りです。
- ターゲットのリサーチとIPを選定
- IP版権元との契約締結
- コラボ商品の開発を実施
- プロモーション計画の策定
- コラボレーションキャンペーンの実施
- コラボレーションの効果を測定して分析する
一つずつ解説します。
ターゲットのリサーチとIPを選定
コラボしたい商品やサービス、自社のターゲットにふさわしいIPはどのようなものかまず考えます。そして、ターゲットが好みそうなキャラクターやアニメ作品を選定します。また、ターゲットの好みだけではなく、自社のコンセプトにIPがマッチしているかどうかも、ポイントになります。
コラボは必ずしも先方に承諾してもらえるとは限りません。そこで、候補はひとつではなく、複数考えておくとよいでしょう。
IP版権元との契約締結
ライセンスの管理を行っている権利者である版権元に対して、コラボを提案し、具体的な条件を提示します。ライセンス料や契約金額の見積もりをして、どのようなコラボを行うか方向性をすり合わせて、条件が整ったら正式に契約を締結します。
コラボ商品の開発を実施
実際にコラボ商品の開発やキャンペーンの内容を決めます。コラボ企画だからこその魅力的で、ファンが喜ぶような商品やキャンペーンを企画しましょう。
コラボ商品の開発では、版権元や原作者などとしっかりコミュニケーションをとって話し合い、キャラクターの世界観に合うように作成します。そのため、版権元の監修が欠かせません。
プロモーション計画の策定
どのようなコラボ商品にするか、どのようなキャンペーンを実施するのかなど、内容が決まったら、コラボのためのプロモーション計画を策定します。ライセンス契約を結び、コラボするからには、広く認知されて、できる限り多くのファンに手にとってもらうことが大切です。
プレスリリースや自社のサイトでの告知はもちろん、SNS、テレビやwebの広告などでプロモーションを実施します。また、コラボ商品販売を記念して、イベントを実施することもあります。
コラボレーションキャンペーンの実施
告知を行った後、定められた日時によりコラボ商品の販売やキャンペーンを実施します。目論見通りコラボ商品が売れているか、キャンペーンの反響があるかを確認し、必要に応じて追加でプロモーションを行うようにしましょう。IPコラボが成功するように、SNSでも積極的にファンとコミュニケーションをとるようにします。
コラボレーションの効果を測定して分析する
IPコラボをただ実施するだけではなく、売上はもちろん、SNSの反響やキャンペーンの応募数などを分析します。データから、成功の要因だけではなく、今後の課題を洗い出しましょう。
今回のIPコラボによって、商品やサービスの認知度や高感度にどのような影響があったかを確認し、SNSなどを通したファンからの声を抽出します。
IPコラボを自社で行うのはハードルが高いと感じる場合は、IPビジネスの代理店に依頼する選択肢もあります。
IPコラボの費用

IPコラボの費用は、ライセンス契約を結んだIPの知名度、どの程度の規模で実施するか、プロモーションやイベントの内容にもよります。IPコラボの費用は、一般的には数百万~数千万規模ですが、中には億単位の規模になることもあります。
IPコラボの費用の内訳は以下の通りです。
- ライセンス料
- コラボ商品開発費用
- プロモーション費用
- その他の付随費用
場合によっては、ライセンス料が費用の50%を占めることもあります。
IPコラボ成功のポイント

IPコラボを成功させるためのポイントは以下の通りです。
- 自社とIPとの親和性を考慮する
- 実施のタイミングを検討する
- スケジュールは余裕を持たせる
- ファンが喜ぶ企画にする
一つずつ解説します。
自社とIPとの親和性を考慮する
IPの選別はコラボ成功の大きな鍵となります。人気のあるIPであっても、自社の商品やサービスに調和しない場合は、成功にはつながりません。お互いに相乗効果で魅力や強みを引き出せる組み合わせになるように検討しましょう。
実施のタイミングを検討する
たとえば、新作映画やアニメ、ゲーム化など、IPのファンが最も盛り上がっているタイミングでコラボレーションを実施することが、成功の大きな鍵となります。こうした特別なタイミングの場合、メディアにコラボ企画が取り上げられることもあるでしょう。
ファンが喜ぶ企画にする
ファンが共感を覚える企画を検討して、コラボ自体を楽しんでもらうようにしましょう。自社の商品やサービスをIPの世界観と結びつけることが大きなポイントです。
スケジュールは余裕を持たせる
IPコラボは、版権元とのすり合わせが必要であるため、通常のプロモーションよりも時間が必要です。そのため、できる限り早い段階から準備をはじめるのがおすすめです。
まとめ

IPコラボについて解説しました。他社のIPを活用して、自社の商品やサービスだけではなく、自社自体のイメージアップや、売上アップ、新たな顧客発掘を可能とするIPコラボは、優れたマーケティング手法の一つであり、多くの企業に注目されています。
IPコラボの成功は、自社とIPの相性や、実施するタイミング、ファンの心をつかむ企画力などが大切です。事前の準備の段階から、通常のプロモーションよりも時間がかかるため、できる限り余裕のあるスケジュールを組むようにしましょう。

