顧客体験(CX)とは?重要性や向上させるためのステップ、成功事例などを紹介

更新日:2026/04/02

この記事でわかること
  • 「顧客体験(CX)」という言葉の意味
  • 顧客体験(CX)向上が重視される理由
  • 顧客体験(CX)を向上させるための4つのステップ
この記事の監修者:元親

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目次

「顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)」(CX)という言葉が、ビジネスの重要な課題の一つとして意識されています。

市場には似たような物が溢れているため、商品やサービスの機能や価格だけでは、他社と差別化を図るのは困難です。そのため、商品やサービスそのものだけではなく、顧客体験(CX)に力をいれることで、競争力の強化を図る企業が増えてきています。

顧客体験(CX)とはどのようなものなのかを詳しく解説し、「顧客満足度(CS)」との比較、重要性、顧客体験(CX)を高める5つの心理学的なアプローチ、向上させるためのステップ、成功事例なども紹介します。

顧客体験(CX)とは?

顧客体験(CX)とは、具体的に何を指すのか、よく似た言葉である顧客満足度(CS)とはどのような違いがあるのか、わかりやすく解説します。

顧客体験(CX)の定義

(CX)とは、英語の「Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」の略称です。日本語では一般的に「顧客経験価値」と訳されています。

顧客体験(CX)は、顧客が購入した商品やサービスの見た目や機能によって得られる価値のことだけを指すわけではありません。顧客が商品やサービスの存在を知るときから始まり、他の物と比較検討し、購入、決済、利用、トラブルの際の対応、アフターサポート、再購入に至るまで、商品やサービス、ひいては企業と顧客とのすべての接点のことを指しています。

顧客体験(CX)の内容は、以下のように多岐にわたります。

主な接点
購入前テレビCMやインターネットなどの広告、SNS、公式サイト、比較サイト、口コミ、実店舗までの利便性
購入時店員の接客、店舗でのディスプレイ、デモ体験、インターネットサイトでの購入なら、サイトでの商品写真、検索しやすさ、決済方法、決済時の待機時間
購入後(利用・サポート)商品の品質、配送時のやりとり、アフターサポート、メルマガ配信

「顧客満足度(CS)」との違い

顧客体験(CX)とよく似た言葉として、「顧客満足度(CS)」があります。顧客満足度(CS)で評価されるのは、主に顧客が購入した商品やサービス自体に満足しているかという点です。商品やサービスを購入する前後は一般的には評価されません。

しかし、顧客体験(CX)では総合的に評価するため、たとえば、商品の性能が非常に高くても、購入サイトの操作性が悪かったり、配送が遅延したりすれば、良い評価にはつながりません。顧客体験(CX)を向上させるには、顧客とのさまざまな接点で満足度アップを図ることが大切です。

顧客体験(CX)を高める5つの心理学的アプローチ

顧客体験(CX)を意識するべきタイミングがいくつもありますが、では、顧客体験(CX)を客観的に評価するにはどうしたらいいのでしょうか。顧客体験(CX)を数値化することは簡単ではありませんが、以下の5つの心理的価値に注目すると評価しやすくなるでしょう。

心理的価値概要具体例効果
感覚的価値(Sense)視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感によって生じる感情のことを指す。内装、製品を手にした時の質感、ブランド独自の心地よい香り、居心地の良い空間など。第一印象で良いと感じさせることにより、顧客が満足してリピートにつながる。
情緒的価値(Feel)顧客の感情に訴えるような価値のことを指し、商品やサービスに対する好感度を高める。スタッフの優しい接客による安心感、清潔な店内でくつろげる、質問したことに的確にこたえてくれるなど。顧客に安心感を抱かせ、信頼できるサービスを提供することで、高感度アップや感動につなげる。
創造的・認知的価値(Think)顧客の好奇心や興味関心に訴える。ユニークな商品の使い方を提供する。ワークショップやイベントなどを開催する。商品の魅力をさらにアピールできる。他の商品にはない自社商品の魅力をアピールできる。
肉体的価値(Act)体を使った体験によって、ライフスタイルに良い変化をもたらす。アプリを使用して健康管理ができた。スキンケア商品を使用することで肌の状態がよくなった、室内運動用のグッズで運動習慣ができたなど。体を使うサービスにより、顧客の生活にプラスになる変化を与え、信頼感を高める。
社会的価値(Relate)特定のコミュニティや文化への帰属意識を満たし、ファンや仲間とのつながりを通じて得られる価値。ファン限定のファンミーティングやオンラインサロンでの交流、オンラインゲームのギルドでの協力プレイ、応援しているチームのグッズを購入するなど。憧れの人とのつながりや、仲間意識を強化することで、乗り換えを防ぎ、愛着をさらに深める。

顧客体験(CX)向上が重視される理由

なぜ、顧客体験(CX)向上が重視されているのでしょうか。それには以下のような理由があげられます。

  • 自分だけの体験「トキ消費」の価値が高まっているから
  • 情報過多により、消費者が「実感」を求めているため

自分だけの体験「トキ消費」の価値が高まっているから

以前は物そのものを所有することのみが重要視されており、物を売れるようにするためには、物の品質や性能を高めることだけが注目されていました。しかし、昨今では、物だけではなく、購入することによって得られるその時だけの体験、「トキ消費」の価値が高まっています。そのため、より多くの人に商品を手にとってもらい、購入してもらうには、顧客とのすべての接点を大切にしなくてはならないため、顧客体験(CX)を意識する必要があります。

情報過多により、消費者が「実感」を求めているため

インターネットが普及した結果、誰もが瞬時に情報を得られるようになったため、情報の価値は低下したといわれています。企業の宣伝はもちろん、一般の方の口コミやレビューが溢れているからこそ、実体験を伴う、自分自身の感覚が重視される傾向にあります。

そのため、顧客とのあらゆる接点、顧客体験(CX)を高めることこそが、新たな顧客獲得につながります。

顧客体験(CX)を向上させるためのステップ

顧客体験(CX)を向上させるには、具体的にどうすればいいのでしょうか。基本的なステップは以下の通りです。

  • ステップ1カスタマージャーニーマップを作成し、顧客のことを知る
  • ステップ2顧客のデータを分析し、課題を抽出
  • ステップ3顧客に合わせた顧客体験を提供する
  • ステップ4改善サイクル(PDCA)を回し続けることで唯一無二の顧客体験を提供

ステップ1カスタマージャーニーマップを作成し、顧客のことを知る

顧客体験(CX)を改善させるには、まず顧客の視点に立って自社の商品やサービスとの関わりを分析し、顧客のことを知るように努めます。

顧客が商品やサービスを認知して、購入し、継続利用に至るまで、どのような経緯があったのか、そのときにどんな感情で動いたのかを図で表すのが「カスタマージャーニーマップ」です。

具体的な顧客像であるペルソナを設定します。このとき、氏名、年齢、性別、職業、ライフスタイル、価値観、悩みなど、細部まで具体的に決めます。このペルソナが、商品やサービスの接点ごとにどのような行動をとり、何を感じたかをカスタマージャーニーマップに当てはめ、分析できるようにまとめます。

ステップ2:顧客のデータを分析し、課題を抽出

作成したカスタマージャーニーマップをベースに、客観的なデータを用いて課題を抽出します。まず、定量データであるアクセスログや購買履歴、キャンペーン結果、時間帯などのデータから、大まかな顧客行動や特性を把握します。

次に、定性データであるコメント、インタビュー、アンケートの回答などから、顧客はなぜその行動をとったのか、その理由を探ります。

さらに、顧客満足度を客観的に数値化し、どのような顧客層にアプローチすべきかを考えます。

ステップ3:顧客に合わせた顧客体験を提供する

ステップ2によって導き出した顧客層に対して、それぞれのニーズに合わせたアプローチを実施します。このときに大切なのは、誰にでも同じ内容を提供することではなく、顧客の状況やそれぞれのタイミングを踏まえて、最適な顧客体験を提供することです。そうすることで、顧客は企業が自分のことを見ており、大切にされていると思えるため、満足度や信頼感が高まります。

ステップ4:改善サイクル(PDCA)を回し続けることで唯一無二の顧客体験を提供

顧客体験を提供した後は、どのような効果があったのか、段階ごとに測定、分析します。ここで、終わりというわけではなく、今後もステップ2や3で行ったように、データを分析して、顧客体験を提供します。

分析、施策の実施、フィードバックという改善サイクル(PDCA)を回し続けることで、さらに良い顧客体験の提供を目指します。

顧客体験(CX)を向上させるためのマーケティング手法

顧客体験(CX)を向上させるマーケティング手法は以下の通りです。

  • オムニチャネル戦略
  • ハイパー・パーソナライゼーション
  • カスタマーサクセス
  • フィードバック・ループ

一つずつ解説します。

オムニチャネル戦略

オムニチャネル戦略とは、すべての経路を指す言葉です。企業と顧客との接点は実店舗だけではなく、ECサイト、SNS、アプリ、コールセンターなどがありますが、それらをすべて統合して、顧客がどのチャネルでも一貫した体験を得られるようにする販売戦略がオムニチャネル戦略です。オムニチャネル戦略の成功により、顧客の視点に立った最適な顧客体験(CX)を提供できるようになり、顧客の満足度や信頼が高まります。

ハイパー・パーソナライゼーション

AIやビッグデータを活用し、顧客一人ひとりの過去の行動、現在の場所、好みに合わせて、最適なタイミングで最適な情報を届けます。企業が売りたい、単なるおすすめ商品を提示するだけではなく、企業が好みを理解してくれているという特別感や親しみを演出し、信頼感が増します。

カスタマーサクセス

商品やサービスは売って終わりではありません。カスタマーサクセスは購入後に顧客がその商品を使いこなせるように、積極的に支援します。ていねいな操作説明やトラブル解消のための問い合わせやクレーム対応、定期的な活用提案を実施します。商品やサービスをスムーズに使いこなせるようにすることで、顧客の満足度に貢献します。

フィードバック・ループ

顧客の声(VoC:Voice of Customer)をリアルタイムで収集、分析し、即座にサービス改善へつなげます。顧客へのアンケートだけでなく、SNSを活用して隠れた顧客の要望や不安を拾い上げて解消することで、顧客体験(CX)改善につなげます。

顧客体験(CX)向上の成功事例

実際に企業ではどのように顧客体験(CX)向上を図っているのでしょうか。成功事例をご紹介します。

ターバックス コーヒー ジャパン

スターバックスでは、事前注文・決済が可能な「Mobile Order & Pay」を導入。顧客にとって最大のストレスであるレジの待ち時間を解消すると同時に、スタッフがより丁寧な接客に集中できる環境を整えることで、店舗での顧客の満足度をアップさせました。

Netflix

視聴履歴や中断タイミングなどの膨大なデータをAIで分析。おすすめ作品の提示だけでなく、サムネイル画像までも顧客の好みに沿って最適なものにしています。これにより、「なかなか好みの作品が見つからない」というストレスをなくし、スムーズに自分に合った映像を顧客は楽しむことができるようになったため、満足度が高まりました。

カインズ

店舗の在庫や、商品の陳列棚を詳細に確認できる機能をアプリに導入。広い店内で目当ての商品が見つからず、長時間浪費する顧客のストレスを解消しました。また、公式のコミュニティを通じたカインズと顧客とで自社ブランド商品の開発を実施。顧客自身がカインズに影響を与えることで、顧客とカインズの距離感をより近づけるようにしています。

ザ・リッツ・カールトン

ザ・リッツ・カールトンでは、全従業員に顧客体験を向上させるための一定の裁量権(ワオ・エフォート)を認めています。企業のマニュアルにはない個別の判断での顧客対応により、顧客からの信頼は高まり、リピート率アップにもつながります。

Warby Parker

ネットショップで現品を確認せずに商品を購入する不安を解消するため、最大5本のフレームを無料で自宅にいながら試着できる「Home Try-On」や、アプリでのARバーチャル試着を提供しています。自宅で試し、家族の意見も聞きながら商品を選べるため、実店舗にもそん色ないような買物体験を提供しています。

ソニー銀行

住宅ローンなどの複雑な手続きをWeb上で簡単に完結できるUI(ユーザーインターフェース)を構築。AIチャットや専任アドバイザーが連携して、顧客の疑問点にこたえることで、金融手続きで感じる不安を解消しています。

顧客体験(CX)向上に取り組む際の注意点

顧客体験(CX)施策を成功させるには、魅力的な設計だけでなく、誠実な運用体制が不可欠です。以下の点に注意して運用しましょう。

  • 顧客の声(フィードバック)を真摯に受け止める
  • 個人情報の保護と倫理的なデータ活用には気をつける
  • 目的に合った適切なツールを選定する

ブランドへの不信感を招かないよう、以下の3点に注意しましょう。

顧客の声(フィードバック)を真摯に受け止める

時には批判やクレームもありますが、それは改善のチャンスでもあります。真摯に意見を受け止め、迅速に反映させることで、顧客は企業に大切にされていると感じるため、信頼関係をより深められます。

個人情報の保護と倫理的なデータ活用には気をつける

顧客体験(CX)を高めるためには、顧客データの分析は欠かせません。そのため、セキュリティチェックを徹底し、法規制を遵守しましょう。顧客情報を適切に扱うことで、顧客の信頼感が高まります。

目的に合った適切なツールを選定する

自社に必要がない、最新技術の導入が目的になってしまわないよう注意が必要です。自社の顧客ニーズを見極めて、利便性を高めることができるツールを選定しましょう。

まとめ

商品やサービスの機能や価格による差別化が困難な現代において、認知から購入、アフターフォローまでを評価する顧客体験(CX)の重要性は高まっています。

顧客体験(CX)の改善では、まずはカスタマージャーニーマップを活用し、各接点における顧客の行動や感情を分析して、どのような対応をすべきか検討します。顧客に沿った施策を考えて、工夫を重ねながら改善していきます。

事例でもあるように、顧客が不便に思うこと、不満足に感じることを上手に解消することは顧客体験(CX)アップにつながります。選ばれ続けるために、日々変わる顧客体験(CX)に注目しましょう。

この記事を書いた人

あそぶ編集部

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