経験価値が高いイベントにするには?企画の流れや注意点も解説

更新日:2026/04/13

この記事でわかること
  • 経験価値が高いイベントの定義
  • 経験価値を高めるためのフレームワーク
  • イベント企画の流れと注意点
この記事の監修者:元親

観光地や施設を、日本で一番ワクワクする遊び場に変えたい!そんな想いで、その土地だけの魅力を「遊び」で引き出します。

目次

イベントの満足度を左右するのは、演出の豪華さや集客数だけではありません。参加者の感情や行動に働きかけ、記憶に深く刻まれる「経験価値」の設計を取り入れることにより、参加者の満足度を高めることができます。

本記事では、経験価値が高いイベントの定義や設計に役立つフレームワーク、企画の流れ、注意点を紹介します。

経験価値が高いイベントとは

経験価値とは、商品やサービスの性能や便利さとは別に、体験した際に感じる感動・喜び・共感といった心や五感が刺激されることで得られる価値のことです。「体験価値」とも呼ばれ、英語では「Experience Value」と表記します。

機能面の価値だけでなく、共感や満足感といった心理的な価値を提供することに重きを置いた考え方です。イベント参加者の感情や行動に働きかけ、記憶に深く刻まれる体験を生み出す場が経験価値の高いイベント作りをするうえで重要となります。

経験価値が高いイベントにするための2つのフレームワーク

経験価値を高めるといっても、具体的に何をすればいいか、イメージしにくい部分もあります。そこで参考になるのが、研究者たちが体系化した2つのフレームワークです。

シュミット氏の「戦略的経験価値モジュール」

経験価値マーケティングの分野で世界的に広く知られているのが、コロンビア大学教授のバーンド・H・シュミット氏です。シュミット氏は1999年に著書「experiential marketing」を発表し、それまでの「機能や品質で選ばれる」という従来のマーケティング観を根本から転換させました。

シュミット氏が提唱した「戦略的経験価値モジュール(Strategic Experiential Modules:SEM)」は、顧客が製品やサービスを通じて得る体験を5つの側面から分類・設計するフレームワークです。

SENSE(感覚)五感を通じて得られる感覚的な価値
FEEL(情緒)内面的な感情や情緒に訴えかける価値
THINK(知的)知的好奇心や思考を刺激することで得られる価値
ACT(行動)身体的な体験や行動変容をもたらす価値
RELATE(関係)他者・集団・社会との繋がりを感じることで得られる価値

イベント設計でこのフレームワークを活用する際のポイントは、5つのモジュールをチェックリストとして使うことです。自社のイベントがどのモジュールを満たせているかを確認し、不足している要素を補う形で企画を組み立てていきましょう。

パイン氏・ギルモア氏の「体験の分類」

1998年、B・ジョセフ・パイン2世とジェームズ・H・ギルモアは、著書「経験経済(Experience Economy)」の中で、体験を「サービス」とは異なる独立した経済的な価値として定義しました。

2人が提唱したのが、体験を4つの領域に分類する考え方です。

領域参加スタイル具体例
Entertainment(娯楽)受動的参加生演奏プロジェクションショーデジタルアート鑑賞
Educational(教育)能動的参加ワークショップ
Escapist(非日常)能動的参加VR没入体験ロールプレイ
Esthetic(美的)受動的参加眺望を活かした回廊空間演出

4つの領域は、自社のイベントの現状を整理する際の指針として活用できます。例えば「Entertainment(娯楽)」ばかりに偏っているイベントであれば、「Educational(教育)」のワークショップや「Escapist(非日常)」の体験を加えることで、参加者の満足度を高められるでしょう。

4つの領域をバランスよく組み合わせることで、参加者が来場前から来場後まで一貫した体験を楽しめるイベントにすることができます。

経験価値が高いイベントを企画する際の流れ

経験価値の高いイベントは、当日の演出だけで生まれるものではありません。ここでは、企画から当日までの8つのステップを順番に解説します。

ステップ1. 経験価値のゴールを決める

経験価値の高いイベントは、当日の演出より先に「このイベントで何を達成するか」を意味するゴールを決めることから始まります。ゴールが曖昧なまま企画を進めると、演出や体験設計がバラバラになり、参加者の満足度が低下しやすくなります。

まずは、下記のような数値化された定量的な目標をゴールとして設定することが大切です。

  • 新規の見込み客を◯◯件獲得する
  • ブランドの認知度を前年比◯◯%上げる
  • 既存顧客の満足度を◯◯点以上にする

ステップ2. 戦略的経験価値モジュールを設定する

ゴールが決まったら、次戦略的経験価値モジュールを設定します。感情の設計をすることで、参加者の感動を促進させることができます。下記を参考に、感情の設計を取り入れましょう。

SENSE(感覚)心地よさ、高揚感、没入感
FEEL(情緒)感動、共感、愛着
THINK(知的)好奇心、驚き、気づき
ACT(行動)達成感、充実感
RELATE(関係)一体感、帰属意識

ステップ3. イベントの見せ場と最後の演出を決める

戦略的経験価値モジュールを設定したら、次にイベントの見せ場と最後の演出を決めます。

心理学者のダニエル・カーネマン氏が提唱した「ピークエンドの法則」と呼ばれる心理現象によると、人は体験全体の印象を評価するとき、感情が高ぶった瞬間となる見せ場と、最後の印象で判断するとされています。途中の経過が良くても、見せ場や最後の演出が不十分であれば経験価値が低下しやすくなるでしょう。

イベント設計では、以下の2点を意識して組み立てていきましょう。

見せ場参加者の感情が最も動く「見せ場」を1つ決める
最後の演出「来てよかった」と感じて帰れる締めくくりを用意する

ステップ4. 参加者の役割を設定する

見せ場と最後の演出が決まったら、次に参加者の役割を設定しましょう。受動的参加のイベントと能動的参加ができるイベントでは、参加者の満足度と記憶への残り方が異なります。役割を与えることで、能動的参加を促すことができます。

役割を与える仕掛けの具体例には、以下のようなものがあります。

  • デジタルスタンプラリーで会場を能動的に回ってもらう
  • ワークショップで手を動かしながら学んでもらう
  • 投票や選択を通じてイベントの進行に関わってもらう
  • 参加者同士でディスカッションする時間を設ける

ステップ5. 五感を刺激する演出を取り入れる

参加者に役割を与えたら、次に五感を刺激する演出を設計しましょう。

五感を刺激する演出の具体例は以下のとおりです。

視覚照明デザイン、プロジェクションマッピング
聴覚BGM、生演奏、音響設計
触覚体験型展示、素材に触れる
嗅覚香りの演出
味覚テーマに合わせた料理の提供

ステップ6. 参加者同士がつながる接点を作る

五感を刺激する演出を取り入れたら、次に参加者同士がつながる接点を設計しましょう。交流設計はイベントの目的によって変わります。

交流設計で押さえておきたいのは、「誰と話せばよいか」を参加者が迷わないように設計することです。共通テーマ別の着席設計、ファシリテーターの配置などの工夫を取り入れ、参加者の心理的なハードルを下げることが大切です。

イベントの目的交流設計の例
商談・ビジネス事前の面談予約、名刺交換の場
学び・コミュニティテーブルディスカッション、グループワーク
ブランド体験参加者同士が協力する体験型コンテンツ
既存顧客向け成功事例のシェア、ユーザー同士の相談場

ステップ7. 世界観に浸れる空間を設計する

交流の設計が整ったら、次に世界観に浸れる空間設計を取り入れましょう。空間設計で意識したいポイントは以下のとおりです。

  • 参加者が自然に会場を回れる流れになっているか
  • ブランドの世界観を体現した素材を選んでいるか
  • 照明や音響が感情ジャーニーに沿って設計されているか

経験価値が高いイベントを企画するための注意点

ここでは、経験価値の高いイベントを実現するために特に意識したい3つの注意点を紹介します。

参加者視点を重視した設計にする

参加者視点を保つために、以下の問いを企画の各段階で確認するのが効果的です。

  • 参加者はどんな立場・状況の人か
  • 各コンテンツはイベントの目的と一致しているか
  • イベント後にどんな感情を持ち帰ってもらいたいか

体験に一貫性を持たせる

経験価値の高いイベントは、個々のコンテンツの質だけではなく、体験全体が一本の線でつながっているかどうかも大切です。演出が凝っていても、方向性に統一感がないと、参加者の没入感が薄れてしまう場合があります。

一貫性を保つために意識したいポイントは以下の3つです。

  • コンテンツを追加するたびに、イベントの目的と一致しているか確認する
  • 会場・開催方法・日程も、参加者の状況に合わせて選ぶ
  • 会社オリジナルの要素を入れ、他では得られない体験を作る

時間管理を徹底する

イベントを企画する際は、時間管理も欠かせない要素の一つです。質の高いコンテンツを用意していても、予定通りに進行することができなければ参加者の満足度低下につながります。

時間管理で押さえておきたいポイントは以下のとおりです。

  • 企画段階で、各コンテンツの所要時間を具体的にシミュレーションする
  • 参加者の移動時間やオンライン接続トラブルを想定し、余裕を持たせる
  • 司会者に加えてタイムキーパーを配置する
  • 短すぎず長すぎない、参加者が飽きない時間設計を意識する

まとめ

経験価値は、体験した際に感じる感動・喜び・共感といった心や五感が刺激されることで得られる価値のことです。心や五感に訴えかけるコンテンツや演出などを設計し、イベント参加者の感動を促進させましょう。

この記事を書いた人

あそぶ編集部

集客・回遊・PRの課題を遊びの力で解決するコンテンツを日々発信しています。