エモ消費は、独身研究科・マーケティングディレクターの荒川和久氏が書籍「超ソロ社会」で提唱した概念で、「感情的な」を意味するエモーショナルが原動力となる消費概念を指します。
本記事では、エモ消費の概要、エモ消費に焦点を当てたマーケティングの特徴、ファン化のパターン、エモ消費に関連するプロモーション手法について紹介します。
エモ消費とは

エモ消費とは、「感情的な・情動的な」を意味するエモーショナルが原動力となる消費概念を指します。独身研究科・マーケティングディレクターの荒川和久氏が書籍「超ソロ社会」で提唱しました。荒川和久氏の説明によると、「自分の好きな物事に対してお金や時間を惜しむことなく没頭し、幸せを感じている状態」であれば、エモ消費といえます。
参考:エモ消費 「好き」が「しあわせ」を拡散する|丸井グループ(PDF)
具体的には、「推し活」がエモ消費の代表例です。特に若い世代の消費行動にエモ消費が多いとされていますが、昔を懐かしんでレトログッズにお金を使う40~50代など、エモーショナルが消費行動につながる例は世代を問わずあります。
「好き」という感情に基づく消費概念を、エモ消費と捉えるとわかりやすいでしょう。つまり、「ファン」です。エモ消費を促進させるには、共感や熱狂を生み、「ファン化」を促すことが必須となります。
エモ消費とモノ消費・イミ消費・コト消費・トキ消費の違い
「○○消費」には、エモ消費の他に、モノ消費、イミ消費、コト消費、トキ消費などがあります。
それぞれの消費概念は、「何に対して価値を感じて消費行動に至るか」で分類されます。それぞれの意味の違いについて、以下に表でまとめて記載します。
| エモ消費 | エモーショナルが原動力となって好きな物事にお金を使う消費概念 |
| モノ消費 | 次々に新しい商品・サービスを購入する消費概念 |
| イミ消費 | 価値観・信念に基づいて商品・サービスを購入する消費概念 |
| コト消費 | 体験・経験や時間に価値を見出す消費概念 |
| トキ消費 | そのとき・その瞬間にしか体験できないことに価値を見出す消費概念 |
エモ消費に焦点を当てたマーケティングの特徴

従来のマーケティングでは、利便性や機能性が価値となり、そのうえで高品質・低価格であることをアピールすることが効果的です。一方で、エモ消費に焦点を当てた場合は、「好き・愛着」という感情を持てることが価値となり、「替えがきかない特別な感情」を促すことが必須となります。
つまり、エモ消費のマーケティングについて検討する際には、「ファン化」の視点が不可欠となります。
| 従来のマーケティング | エモ消費のマーケティング | |
| 消費の価値観 | 利便性・機能性 | 好き・愛着 |
| 意思決定の軸 | コスパ・問題解決 | 共感・没入感 |
| 訴求のポイント | 高品質・低価格 | 替えがきかない特別な感情 |
ファン化する5つのパターン

「エモ消費」の「好き・愛着」の理由を説明できるとは限りませんが、パターン分けすることは可能です。
ファン化の要素を5つ挙げます。
- 理想・憧れ
- 感動
- 共創・応援
- ギャップ
- 居場所
以下で、それぞれのファン化のパターンについて紹介します。
「理想・憧れ」が感じられた場合
1つ目は、「理想・憧れ」です。例えば、アイドルの外見や服装、生活などが理想的で憧れの対象となり、ファン化するイメージです。また、「なりたい自分」に限らず、「理想の異性」、「理想の親子」、「理想の夫婦」なども理想・憧れの対象であり、ファン化の理由となり得ます。
「理想・憧れ」の具体例
- 芸能人・インフルエンサー
- 経営者・成功者
- 人気の夫婦・カップルYouTuber
「感動」が得られた場合
2つ目は、「感動」です。例えば、期待を上回る体験ができた際に、ファン化するイメージです。テーマパークの接客、想像を超えた演出を取り入れたショーイベントなど、事前の期待を大幅に上回る体験が得られた際に感動し、ファンになります。
「感動」の具体例
- テーマパークの接客
- 最新技術を取り入れた舞台演出
- 大規模なサーカス
「共創・応援」ができる場合
3つ目は、「共創・応援」です。例えば、クラウドファンディングで支援したり、配信サービスで投げ銭ができたりして、自身が共創・応援に参加できた際にファン化するイメージです。自身が関わることで愛着がわき、ファン心理を持つようになることでファン化します。
「共創・応援」の具体例
- クラウドファンディング
- 配信サービスの投げ銭
- ユーザー参加型配信・ライブ
「ギャップ」が感じられた場合
4つ目は、「ギャップ」です。例えば、完璧主義の成功者が弱さを見せたり、クールでドライなキャラクターが照れた仕草をしたりして、いわゆる「ギャップ萌え」が感じられた際にファン化するイメージです。ギャップが引き立つことで人間味が感じられ、親近感がわいてファン化します。
「ギャップ」の具体例
- 完璧に見える人が見せる弱さ
- クールでドライな人物が見せる照れた仕草
- 硬派に見えて甘党
「居場所」が得られた場合
5つ目は、「居場所」です。例えば、居心地の良い飲食店や、趣味について話せるオンラインコミュニティなどで、自身にとって大切な居場所だと感じられた際にファン化するイメージです。どこかに属していたい、居心地の良い場所に居たいなどの欲求が満たされ、ファン化します。
「居場所」の具体例
- 楽しい対話を通じて肯定してもらえるメイド喫茶
- 共通の趣味を持つ人と関われるオンラインコミュニティ
- 定期的に開催される体験型イベント
エモ消費を取り入れたイベントプロモーション3選

エモ消費は「好き・愛着」に基づいた消費行動であり、商品・サービスそのものの利便性・機能性よりも感情が優先されるため、販売促進につながりやすいことが特徴です。また、共感をシェアすることで口コミとして広まりやすく、集客や認知獲得にも効果的とされています。
コラボイベント
「コラボイベント」は、漫画・アニメなどのIPや、インフルエンサーなどとコラボしたイベントです。ファンが多いIPやインフルエンサーとコラボすることでエモ消費が促されます。
ファンミーティング
「ファンミーティング」は、インフルエンサーや声優などを主体としたファン参加型のイベントです。推しと直接的に交流したり、ライブパフォーマンスを鑑賞したりすることができて感動が醸成され、販売促進につながります。
古物市・蚤の市
「古物市」、「蚤の市(のみのいち)」は、アンティーク、古道具、玩具など、レトロな物品を中心に販売するフリーマーケットです。「平成レトロ」という言葉が流行ったように、エモ消費を基盤として販売促進につながります。
まとめ

エモ消費は、独身研究科・マーケティングディレクターの荒川和久氏が書籍「超ソロ社会」で提唱した概念であり、「好き・愛着」といったファン心理に基づく消費行動を指します。そのため、エモ消費の拡大を図るにはファン化が必須となります。
エモ消費に基づいたマーケティングやプロモーションを図る際は、「ファン」の視点を持ち、感情を基盤として消費行動につながるように設計することが重要です。

