コト消費とは?モノ消費との比較、ビジネスでのアプローチ方法、成功事例などを紹介

更新日:2026/03/16

この記事でわかること
  • コト消費とモノ消費の違い
  • 7種類のコト消費
  • トキ消費、イミ消費、エモ消費、ヒト消費
この記事の監修者:元親

観光地や施設を、日本で一番ワクワクする遊び場に変えたい!そんな想いで、その土地だけの魅力を「遊び」で引き出します。

目次

コト消費とは、物を所有することを指すモノ消費とは異なり、旅行、習い事、スポーツ、イベントの参加、文化的な活動、体験による消費を指します。物を購入すること自体は、今でもビジネスの基本といってよいですが、昨今では、消費者に多くの選択肢があるため、差別化が難しく、物の品質や機能だけで勝負するのは難しいといわれています。新たな顧客の獲得や新しいビジネスのチャンスをつかむためには、コト消費が重要な視点です。

今回は、コト消費について、モノ消費と比較しながら、どのようにビジネスに活かせるのか、アプローチ方法や実際の成功事例を紹介します。また、トキ消費、エモ消費、イミ消費、ヒト消費についても解説します。

コト消費とは?モノ消費との比較

「コト消費」とは、「体験消費」ともいわれています。物を購入する消費ではなく、旅行、習い事、スポーツ、イベントの参加、文化的な活動をすることがコト消費です。

高度経済成長期の日本では、白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫が三種の神器といわれてこれらを所有することが庶民の憧れとされていた時代がありました。この時期は、物を所有すること、「モノ消費」が全盛の時代だったと考えられています。

しかし、一通り物がそろった後では、以前のように物を所有することへの情熱は薄れ、徐々にコト消費に多くの人の趣向が傾いているといわれています。また、以前よりも、旅行、イベント、レジャーなどは多様になり、自分の好みに合ったものを選べるようになったのもコト消費が選ばれるようになった原因の一つといえるでしょう。

コト消費の需要が高まっている理由

以下のような理由から、コト消費の需要が高まっています。

  • 物の性能や品質だけでは差がつかなくなった
  • 物を増やすことに疲れを感じている
  • SNSにより、現地に足を運ぶ体験の価値が高まった

物の性能や品質だけでは差がつかなくなった

現在では、あらゆる物が手軽に手に入り、安価な物も多数あるため、結果的に部屋中に物があふれている家も少なくありません。そのため、購入した物を管理するのが難しくなり、物を手に入れる価値は以前より低くなり、物を増やすこと自体に疲れを感じているケースも少なくありません。そのため、物ではなく、楽しく素敵な時間にお金を使いたいという人も増えているようです。

SNSにより、現地に足を運ぶ体験の価値が高まった

多くの人が日頃からSNSでお互いの体験を共有するようになりました。自分がどこに行ったか、何を見たかを発信するのが当たり前になっています。そこで、SNSで映える、現地に足を運んだ特別な体験の価値が高まっているといわれています。

7種類のコト消費とは

コト消費には、主に以下の7種類があるといわれています。

  • 純粋体験型
  • イベント型
  • アトラクション施設型
  • 時間滞在型
  • コミュニティ型
  • ライフスタイル型
  • 買い物ワクワク型

一つずつ解説します。

純粋体験型

ホテルや旅館などでの宿泊、遊園地やレジャー施設、スポーツなどのように、体験することが商品となるのが純粋体験型コト消費です。現地で楽しむことで消費するだけでなく、関連グッズの販売など、そこにしかない商品を購入するモノ消費のきっかけにもなります。

イベント型

トークショー、子どもむけのヒーローショー、コラボイベント、物産展など、イベントを開催することで集客します。イベントによって普段その施設に訪れない人にも足を運んでもらうことで、ついでに他の店舗ものぞいてもらい、さらなるモノ消費につなげます。

アトラクション施設型

ショッピングモールに併設した映画館、美術館、水族館、動物園、アスレチックなどでの消費を指します。これらの施設で集客し、他の店舗でも飲食したり、買物したりすることで、モノ消費にもつながります。

時間滞在型

施設内に長時間いたくなるような、居心地の良い空間をつくり、コト消費を促します。ゆったりと本を選べるブックカフェなどがあげられます。イベントやアトラクションについても、長時間滞在することによって、このカテゴリーに入るでしょう。

コミュニティ型

同じ趣味を持つ人たちが集まる場所をつくり、コミュニティでの活動を提供します。例えば、サーフィンショップに愛好家が集まり情報交換する場を作る、アーティストとのファンクラブなどでオフ会をするといったことがあげられます。

ライフスタイル型

商品を単品で並べるのではなく、ライフスタイルにそったインテリアや雑貨などをディスプレイして見せることで消費につなげる方法です。商品を組み合わせてより魅力的に見せ、理想の暮らしをイメージさせることで、相乗効果を生み出すことがあります。

買い物ワクワク型

お買い物という行為自体を、ワクワクするような楽しい体験にする工夫です。個性的で魅力的な照明や内装によって思わず手に取りたくなるレイアウトや、お店にいるだけで楽しくなるような雰囲気をつくり、モノ消費にもつなげます。具体的には、ロフト、ヴィレッジヴァンガード、カルディコーヒーなどがあげられます。

トキ消費、イミ消費、エモ消費、ヒト消費とは?

コト消費とモノ消費について取り上げましたが、他にも以下のようなカテゴリーの消費があります。

  • トキ消費
  • イミ消費
  • エモ消費
  • ヒト消費

一つずつ、どのような消費なのかを解説します。

トキ消費

トキ消費はコト消費と似ている面がありますが、コト消費が現地での体験であるのに対して、さらに時間を限定しているのがトキ消費です。例えば、期間限定のコラボカフェ、ポップアップストア、オリンピック、万博などもコト消費になります。 トキ消費は昔からありますが、推し文化の普及により、現代ではより大きな消費につながりやすいといえるでしょう。

イミ消費

イミ消費は、文字通り、大きな意味、意義深い社会貢献的側面のある消費のことを指します。たとえば、困っている人々を助ける活動をしている団体や、支援が必要な文化的組織などのグッズを購入するといったことです。複数の商品から環境に配慮した商品や、発展途上国の人の雇用につながるような商品を選ぶ、地域貢献という意味ではふるさと納税もイミ消費であるといえます。

エモ消費

エモ消費のエモとは、エモーショナル、感情のことを指し、感情に直結するような消費がエモ消費と呼ばれています。たとえば、デジタルカメラやスマホで簡単に写真が撮れて加工までできる中、あえて手間のかかるフィルムカメラでの写真撮影を楽しむ、アイドルやアニメキャラクターなどの推しの誕生日にケーキを買ってお祝いするといったことです。

興味がない人にとっては、意味不明と感じるものではありますが、自分にとっては満足感の大きな消費といえます。

ヒト消費

商品やサービスではなく、アイドル、アーティスト、YouTuber、VTuber、インフルエンサーなど、ヒトに関連する消費のことを指します。実在の人物だけではなく、アニメや漫画やゲームのキャラクターなども含まれます。

具体的には、アイドルのファンミーティングへの参加、グッズや握手券などを購入する、YouTuberやVTuberなどなら、投げ銭(スパチャ)をするといったことです。

コト消費を促すアプローチ手法

コト消費をビジネスとして成功させるためには、物の品質や機能にこだわるだけではなく、モノ消費とは異なる以下のような目線が必要です。

  • 特別感、非再現性にこだわる
  • コミュニティづくりを意識する
  • 長時間いたくなるような空間づくりをする
  • オフラインでもスムーズに購入できるように工夫する

一つずつ解説します。

特別感、非再現性にこだわる

コト消費では、顧客がその場に足を運ぶ意義があると思わせることが重要です。そのため、今日、ここに来なくては体験できないと感じさせること、特別感や非再現性の演出は重要といえます。具体的には、季節や期間限定のトキ消費ともいえる独自のイベントの開催は効果的です。また、二度と体験できないからこそ、顧客の満足感もアップし、SNSでの拡散にもつながるでしょう。

コミュニティづくりを意識する

一人で楽しむよりも、同じ趣味の仲間と楽しむことで、より消費へのハードルは低くなると考えられます。そこで、オフラインでもオンラインでもファンの交流を促すようなコミュニティをつくることは有効です。

長時間いたくなるような空間づくりをする

コト消費を求める顧客は、いつものお店で日用品を購入しにいく通常の消費者よりも、期待値は高く、そこで楽しめることを前提にしているでしょう。しかし、せっかく来たのにゆっくりと過ごせない、長時間待たされて疲れたということがあったら、次はもういかないという判断をする可能性があります。

顧客がそこに、長時間留まっていたくなるような居心地の良さを意識することは大切といえます。人数制限をして予約制にする、特別展示や座る場所の設置などにより、長時間楽しめる環境を整えましょう。

オフラインでもスムーズに購入できるように工夫する

オンラインでの買い物のメリットは、手軽に商品を購入できることですが、オフラインで物を買う時は、実際の物を見て、手にとって買えることや、買物すること自体の楽しみを提供できるというメリットがあります。その実店舗での買い物の魅力を最大化するために、まずストレスなくスムーズに購入できる仕組みの構築を意識するとよいでしょう。

また、目で見て楽しめるディスプレイの工夫や、店員による商品選びのアドバイスや顧客との交流もポイントといえます。その商品へのファンの目線でディスプレイをつくることや、店員自身も商品知識を身につけておくとよいでしょう。

コト消費を成功させた企業の成功事例

現在では、実際にさまざまな企業がコト消費により売上だけではなく、企業の認知度やブランド価値を高めたりしています。

企業のコト消費の成功事例を紹介します。

スノーピーク(Snow Peak)

歴史あるキャンプ用品メーカーであるスノーピークは、自社の従来の商品を活かしながら、コト消費につなげ、売上拡大を図ったことで知られています。1980年代後半から、スノーピークの社員と顧客が一緒にキャンプを楽しむ「Snow Peak Way」というイベントを全国で開催することで、商品を販売するだけではなく、商品や企業自体のファンを増やしました。モノ消費よりも一歩踏み込んだコト消費につなげていったといえます。

また、体験を通して、直接商品の開発者と顧客がつながることにより、企業と顧客の間に絆が結ばれたため、リピート率も必然的に高くなったと考えられます。その他に、自社の商品を置いた宿泊施設をつくるなど、場の提供も実施しています。

キッザニア(KidZania)

子どもが主役である、子どものための職業体験テーマパークであるキッザニア。大人のしていることを自分もやってみたいという子どもの願望と、大人の子どもに社会の仕組みを学ばせたいという教育的なニーズにマッチしており、人気の高いテーマパークです。

多くの企業も参画しており、企業がプロデュースしている本物のような施設や商品の提供はインパクトがあります。また、独自の通貨を設けており、子どもたちが仕事をすることで給料としてお金がもらえるだけではなく、銀行に預けておくことや、デパートで買い物することも可能です。

子ども目線に立ったていねいな接客もポイントで、ただスムーズに誘導するだけではなく、子どもに対して理解できるように説明したり、子どもの意思を確認したり、教育的配慮がみられます。企業にとっても、自社の商品やサービスのアピールにつながっています。

メナード化粧品

今やドラッグストアやコンビニだけではなく、100円ショップでも気軽にさまざまな化粧品を購入できます。日本のブランドだけではなく、海外ブランドの商品もライバルです。そのため、店舗やCMでの露出だけでは他社の商品と差をつけ、選ばれることは難しくなっています。

そんな中、メナード化粧品は、「メナード フェイシャルサロン」を全国的に店舗展開し、化粧品だけではなく、プロによるエステを抱き合わせることにより、業績を伸ばしました。

エステ体験の心地良さや、プロからのアドバイスが直接受けられるだけではなく、エステと化粧品とでお買い得にサービスが受けられる点もポイントです。

ジャパネットグループ

ジャパネットグループといえば、家電製品のテレビ通販でよく知られていますが、2017年より、オリジナル商品「ジャパネットクルーズ」を展開しています。テレビ通販という、購買力のある顧客にアクセスしやすいメディアの強みを活かし、豪華客船でのディナーやショーの映像で魅力をアピールし、朝食の無料サービスといった特典により、お得感も演出しました。 クルーズ旅行であるため、通常の旅行よりも高額であるにも関わらず、多数の申し込みがあったそうです。クルーズ旅行に憧れているものの、どこに申し込めばよいかわからないというニーズをつかんで、独自の販売形態を活かしてコト消費につなげた例です。

サムライシアター

外国人観光客やインバウンド向けの体験型サービスを展開するサムライシアター。外国人観光客に人気のあるサムライ体験を提供しています。着物と袴といったサムライの衣装を着られるだけではなく、竹刀ではなく、本物の刀を模した模造刀である殺陣が体験できます。

悪役に扮したサムライをお客様が切り倒すチャンバラごっこや、サムライとの記念撮影など、特別感のあるコト消費らしい工夫がされています。

車泊

2024年はコロナ前の12倍の利用件数となった車泊。車泊というと、他に選択肢がなく、仕方なく車に泊まるという印象がありますが、積極的に車泊を楽しむことをコンセプトに、駐車スペースと共に電源や24時間利用できるトイレなどを提供するサービスです。道の駅や公園、お城など、本来泊まることはできない魅力的なスポットもあり、リーズナブルであるため、人気が高まっています。

まとめ

コト消費について解説しました。日本では、物を所有するだけに留まるモノ消費から、その場にいって顧客体験を提供するコト消費への需要は高まっているといわれています。もちろん、以前としてモノ消費は重要であり、多くの場合は、コト消費とモノ消費は連動しています。

また、トキ消費、イミ消費、エモ消費、ヒト消費といった新しい視点を意識することもビジネスにおいては大切です。そうすることが、顧客を詳細に分析し、自社の商品やサービスの魅力を引き出すことにつながるといえるでしょう。

この記事を書いた人

あそぶ編集部

集客・回遊・PRの課題を遊びの力で解決するコンテンツを日々発信しています。