ホテルの集客では、立地や価格だけでなく独自の体験や多角的な接点を創出することが重要です。
本記事では、イベント・企画、客室・プラン・キャンペーン、オンライン施策の3つの観点からホテルの集客方法20選と具体的な成功事例を紹介します。
「イベント・企画」に関するホテルの集客方法7選

まずは、イベント・企画に関するホテルの集客方法を紹介します。
季節イベント
季節ごとの特別イベントの企画は、その時期ならではの魅力を活かし、独自の体験を提供できる施策です。春には桜観賞ツアー付きの宿泊プラン、夏にはビアガーデンの開催、冬にはクリスマスマーケットの実施など、季節感を前面に打ち出した企画が来館のきっかけになるでしょう。
また、毎年同じ時期に継続して実施することでその季節の定番として認知され、リピーターの獲得にもつながります。幅広い層への集客が期待できますが、なかでも季節の行事を大切にするファミリー層やカップル層に効果が期待できるでしょう。
ワークショップ
ホテル内で地元の文化や伝統に触れられるワークショップを開催することは、観光客にとって印象に残る特別な体験となり、他施設との差別化にも有効な施策です。
陶芸体験や和菓子作り体験、地元の旬の食材を使った料理教室など、地域性を感じられる内容を取り入れることで、滞在そのものの満足度を高められるでしょう。
こうしたアクティビティは宿泊の思い出を深めるだけでなく、旅行需要が落ち着く時期でも集客しやすい点が魅力です。体験価値を重視する旅行者はもちろん、子どもに学びのある時間を提供したいと考えるファミリー層にも響きやすいでしょう。
さらに、宿泊者以外も参加できる形にすることで、地域住民を含めた幅広い層へのアプローチが可能となり、施設の認知度向上も期待できます。
ナイトイベント
ナイトプールや星空観察といったナイトイベントは、いつもの滞在に特別感を加え、印象に残る時間を演出できる施策です。
たとえばナイトプールは、日焼けを避けたい方やSNS映えを重視する女性層から支持を集めやすく、宿泊者以外も高単価で利用する傾向があるため、収益性の面でも魅力があります。また、星空観察会のようなイベントは都市部では体験しにくい非日常を味わえる企画として、家族連れやカップルに効果的でしょう。
いずれも写真や動画に残しやすく、SNSに投稿されやすいことから、自然な形での拡散効果も期待できます。
縁日
ホテル内に射的やヨーヨー釣り、わたあめ作りといった屋台を並べる縁日イベントは、子ども連れのファミリー層に向けた集客施策として効果的です。子どもが旅行先で思いきり楽しめるアクティビティを用意することで、家族にとって忘れにくい思い出となり、滞在全体の満足度向上にもつながります。
楽しそうに過ごす子どもの姿は、保護者にとっても旅行先を選ぶ際の大きな判断材料になりやすいでしょう。夏休みなどの長期休暇にあわせて実施すれば、特定の時期における宿泊率の向上にも期待できます。
謎解き
謎解きイベントは、ホテル全体を舞台にした没入感のある体験を提供できる点が魅力の施策です。参加者が物語の流れに沿って館内を巡るため、滞在そのものがエンターテインメントとして楽しめます。
実際に、横浜ロイヤルパークホテルでは、約30年にわたる歴史をたどるストーリーが展開され、来館者の関心を集めました。こうした企画は非日常を求める層や若年層、グループ旅行との相性が良く、話題になりやすい点も特徴です。閑散期に実施することで新たな来館動機を生み出し、稼働率の向上にもつながるでしょう。
宝探し
宝探しイベントは、館内や敷地内を巡る動線を自然につくり出せる集客施策として活用できます。参加型の企画で達成感を味わえるため、子どもから大人まで幅広い世代が楽しみやすいのも魅力です。
ファミリー層やグループ旅行との相性が良く、イベントをきっかけに滞在時間が延びることで、館内施設の利用促進にもつながるでしょう。ゲーム感覚で気軽に参加できることから心理的なハードルも低く、イベントを目的とした宿泊予約を後押しする要素となり得ます。
スタンプラリー
スタンプラリーは、ホテル内外を巡る動線を自然に生み出せる集客施策として活用されています。館内施設や周辺の観光地と連動させることで、滞在中の行動が広がり、施設全体の活性化にもつながります。
実際にフェアフィールド・バイ・マリオットでは、全国29のホテルを対象にしたスタンプラリーを実施し、宿泊券や特産品を景品とすることで、広域での周遊を促す取り組みを行っています。
近年はQRコードやGPSを活用したデジタルスタンプラリーも増えており、観光DXの一環として注目されるとともに、参加者の行動ログを収集できる点もメリットといえるでしょう。ゲーム性を楽しみたい層や、地域の魅力を隅々まで味わいたい観光客、リピーター育成を目指す温泉地などに適した集客方法です。
「客室・プラン・キャンペーン」に関するホテルの集客方法8選

ホテルの客室やプランに独自性を出したり、魅力的なキャンペーンを展開したりするのも集客に効果的です。ここでは、客室・プラン・キャンペーンに関するホテルの集客方法を紹介します。
コンセプトルーム
コンセプトルームは、特定のテーマや世界観を明確に打ち出すことで、趣向の合うニッチな層に訴求しやすい施策です。実際に、数百種類のボードゲームを楽しめる部屋や、アーティストが壁に直接描いたアートルーム、氷や本に囲まれた非日常的な空間など、多様なコンセプトルームが展開されています。
特徴がはっきりしているため、SNSや口コミで話題になりやすく、指名検索や目的を持った来訪を生み出しやすい点も魅力です。期間限定や部屋数限定といった演出を加えることで、予約意欲も高められます。
一般的な客室では味わえない、泊まること自体が目的となる体験を提供できるため、リピーターの確保にも効果が期待できるでしょう。
体験付きの宿泊プラン
体験付き宿泊プランは、宿泊とアクティビティを一体化させることで、滞在価値を高める集客施策です。
子ども向けのお仕事体験としてフロント業務や一日支配人体験を用意したプランや、地元の食材を収穫するいちご狩りがセットになったプラン、ヨガやスパトリートメントを組み合わせたウェルネスプランなど、内容は多岐にわたります。
旅行中の過ごし方に迷いやすい層にとって利便性が高く、選びやすさが予約率の向上にもつながります。体験内容を具体的に打ち出すことで他施設との差別化が図りやすく、観光を目的とした旅行者や初めて訪れる利用者にとっても魅力的な選択肢となるでしょう。
観光地・施設とのコラボプラン
地域の観光地や施設と連携したコラボプランは、明確な目的を持った集客を実現しやすい施策です。宿泊と観光をセットで打ち出すことで、旅行全体の過ごし方をイメージしやすくなり、予約意欲を高められるでしょう。
近隣の水族館や遊園地のチケットが付いたプラン、地元の酒蔵と連動した利き酒イベント、伝統工芸を体験できるプログラムなど、内容次第で幅広いニーズに対応できます。地域ならではの魅力を活かせることから、初めて訪れる旅行者や観光を重視する層にも効果的です。
地域との連携によって情報発信力が高まり、相互送客につながるメリットもあります。
記念日・アニバーサリープラン
記念日や誕生日向けの宿泊プランは、特別な時間を過ごしたいと考える層に向けた集客施策として効果的です。
客室の装飾やサプライズ演出を取り入れることで満足度が高まり、その体験が口コミや再訪につながりやすくなります。カップルや夫婦、家族での利用と相性が良く、価格よりも体験価値を重視する層を取り込みやすい点も特徴です。
ケーキや花束、シャンパンの手配に加え、近年ではバルーンで客室を飾り付けたり、事前に預かったプレゼントをサプライズで届けたりするサービスを提供するホテルも見られます。こうした非日常感のある演出が、ホテル選びの決め手になるケースも少なくありません。
ワーケーションプラン
ワーケーションプランは、仕事と滞在を両立させたい層を取り込める集客施策です。安定した通信環境や集中しやすい作業スペースを整えることで、これまで稼働が伸びにくかった平日の利用促進が期待できます。
長期滞在や法人利用につながりやすい点も特徴で、観光需要に左右されにくい安定した集客につながるでしょう。個人事業主やリモートワーカーだけでなく、企業の福利厚生として利用するケースや、短期出張者もターゲットにできます。
企業研修・社員旅行向けプラン
企業研修や社員旅行向けの宿泊プランは、団体需要を取り込むうえで有効な集客施策です。
会議室や研修スペースの貸し出しに加え、ケータリングサービスやチームビルディングに役立つアクティビティを組み合わせて提供することで、利用価値が高まります。また、高速Wi-Fiや十分な電源設備など、業務に集中できる環境を整えることも欠かせません。
一般企業だけでなく、ゼミ合宿を行う大学などもターゲットに含めることで、利用の幅が広がります。閑散期の対策としても活用しやすく、法人顧客の継続的な利用にもつながるでしょう。
長期滞在プラン
長期滞在プランは、宿泊日数を伸ばすことで稼働率と売上の安定化を図りやすい施策です。法人利用やワーケーション、移住体験を目的とした層との相性が良く、継続的な利用が見込める点は集客面で大きなメリットといえます。
宿泊日数に応じた割引を設定するほか、ランドリーサービスや朝食、キッチンの利用といった設備やサービスを充実させることで、滞在中の利便性が高まります。こうした割引は出張経費を抑えたい企業のニーズにも応えやすく、利用促進につながるでしょう。
早割・直前割
早割や直前割は、価格をきっかけに予約を促しやすい集客施策です。早期予約を促すことで、ホテル側は需要の見通しを立てやすくなり、直前割は空室対策として有効です。
計画的に費用を抑えて宿泊したい層から、急な予定で宿を探す直前予約の利用者まで、幅広いターゲットに対応できます。価格に敏感な旅行者や予定が流動的な層にも訴求しやすく、活用次第で集客の幅が広がるでしょう。
適切なタイミングで適正な価格を提示することが、効果を高めるポイントです。
「オンライン施策」に関するホテルの集客方法5選

集客には、認知度拡大を図れるオンライン施策も欠かせない取り組みです。ここでは、オンライン施策に関するホテルの集客方法を紹介します。
SNSアカウントの運用
InstagramやX、TikTokといったSNSの運用は、ホテルの魅力を視覚的に伝えられる集客施策として有効です。集客だけでなく、ブランドイメージを育てるツールとしても機能し、日常の風景やイベント情報を継続的に発信することで、施設への親近感を高められます。
とくに写真や動画は拡散力が高く、認知拡大に効果を発揮します。Instagramでは客室や料理の美しいビジュアルを投稿して世界観を伝え、Xでは空室情報やキャンペーンをリアルタイムで発信し、TikTokではルームツアー動画によって滞在のイメージを具体化するなど、媒体ごとの特性を活かした運用が効果を高めます。
SNSは若年層を中心に来館前の情報収集手段として活用されており、公式サイトへの導線としても重要な役割を担っています。
公式ホームページの運用・充実
公式ホームページは、利用者が最終的に予約を判断する重要な接点です。掲載する情報を整理し、施設の魅力をわかりやすく伝えることで、直予約の促進につながります。
施設のコンセプトや世界観を高品質な写真やデザインで表現し、独自の宿泊プランや公式サイト限定の特典を打ち出すことも効果的です。SEO対策を行えば検索からの流入を増やしやすく、集客面での強みとなります。
あわせて、最新情報の更新や予約までの導線を見直すことで、機会損失の防止にも寄与します。さらに多言語対応を進めることで、増加するインバウンド需要を取り込みやすくなるでしょう。
インフルエンサー・クリエイターとのタイアップ
インフルエンサーやクリエイターとのタイアップは、狙ったターゲット層に効率よく情報を届けられる集客施策です。たとえば、旅行系インフルエンサーに実際に宿泊してもらい、その体験をSNSやYouTubeで発信してもらうことで、施設の魅力を具体的に伝えられます。
実体験に基づいた発信は信頼性が高く、見る側の来訪意欲を高めやすい点も特徴です。SNSを日常的に利用する世代や体験価値を重視する層との相性が良く、短期間での認知拡大が期待できます。
また、話題性を生み出しやすい点も、この施策ならではの魅力といえるでしょう。
ホテル・旅行関連メディアへの掲載
専門メディアへの掲載は、信頼性の高いプロモーション手段として活用できます。「ペットと泊まれる宿」や「絶景温泉」など、特定のテーマに沿った形で紹介されることで、その分野に関心の高いターゲットへ直接情報を届けやすくなります。
メディアへの掲載は比較検討段階にある旅行者にリーチしやすく、認知から予約までの流れを強化できる点も魅力といえるでしょう。第三者の視点で紹介されることで安心感が生まれ、ブランド価値の向上にもつながります。
記事広告としての掲載に加え、プレスリリースを配信して話題性をつくり、メディア側から取材を受ける純記事としての掲載を目指すこともポイントです。
ホテル予約サイトへの登録
楽天トラベルやじゃらん、Booking.comといったホテル予約サイトへの登録は、集客チャネルを広げるうえで欠かせない基本施策です。多くの利用者が比較検討する場に露出することで予約の機会が増え、施設の認知向上にもつながります。
登録するだけで幅広い潜在顧客に存在を知ってもらえるほか、各サイトが実施する季節特集やポイント還元企画に参加することで、露出をさらに高められます。手数料は発生しますが、新規顧客を獲得するためのコストとして考えると効率的といえるでしょう。
魅力が伝わるメイン写真やキャッチコピーで競合との差別化を図り、寄せられた口コミに丁寧に対応して高評価を維持することが予約流入を増やすポイントです。
ホテル集客の成功事例

ここでは、イベントやキャンペーンの企画により、ホテルの集客に成功した事例を紹介します。
ホテルの閑散期を活用した謎解きイベント
箱根仙石原プリンスホテルでは、冬の閑散期対策として、謎解き制作集団「謎組」と連携した宿泊体験型ゲームを2013年から継続しています。
実際に起こった未解決事件をモチーフに、虚構と現実が入り混じるストーリーが展開され、参加者は客室を調査拠点にしながら事件解決を目指します。旅の準備段階から世界観に入り込めるよう工夫されており、滞在そのものが物語の一部として楽しめる仕掛けが特徴です。
初回は参加者139人規模でしたが、評判を呼び、2019年には約2000人まで増加。そのうち約半数がリピーターとなるなど高い支持を集めています。2024年には12月の予約開始から約2時間半で数十件の予約が埋まるなど、閑散期でも安定した集客を実現しています。
タイムセールクーポン企画による予約獲得
宮城県のあるホテルでは、Instagramを起点とした戦略的な集客によって、短期間で1,000万円を超える売上を達成しています。
まず、無料宿泊券が当たるモニターキャンペーンを実施し、約1か月で4,000人規模のフォロワーを獲得することで、認知を一気に広げました。次の段階では、ホテルの主要ターゲットである「宮城県×お出かけ×ママ層」と親和性の高いインフルエンサーを起用し、PR企画やコラボ企画を通じて、ユーザーの「行ってみたい」という気持ちを高めています。
その後、最大半額となる新春タイムセールクーポンを配布し、予約への後押しを行いました。
認知から予約までの導線を途切れなく設計した結果、合計300組以上の予約獲得に成功しています。
まとめ

集客成功のポイントは、ターゲットに合わせたイベント企画やニーズを捉えた宿泊プラン、そして認知を広げるオンライン施策の相乗効果にあります。成功事例にもあったように、閑散期対策やSNSを活用した導線設計を戦略的に行うことで、安定した稼働とリピーター獲得が可能になります。
自施設の強みや地域特性を再確認し、現代の旅行者が求める価値を創出する施策を柔軟に取り入れましょう。

