イベントマーケティングは、イベントでの体験を通じて感情的なつながりを形成するマーケティング手法です。感情的なつながりを形成するには経験価値の高いイベントを実施し、感動や喜びを促すことが重要となります。
本記事では、イベントマーケティングの定義・意味や、イベントに関する理論、イベントマーケティングの手法10選、効果測定の方法、イベント企画例について解説します。
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イベントマーケティングとは

イベントマーケティングとは、体験の場を通じて感情的なつながりを形成し、販売促進やファン化などを促すマーケティング手法です。イベントを活用することで顧客との接点をつくり、感動的な体験を通じて販売促進やファン化が促されます。
イベントマーケティングの特徴は、イベントを通じて経験価値を高めて訴求できる点です。経験価値とは、「商品・サービスとは別に、感動や喜びで感じられる価値」を指します。イベントの演出や提供する商品・サービスなどの要素で感動や喜びを高めることで、マーケティングにつなげることができます。
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イベントマーケティングに関する理論

イベントマーケティングを成功させるには、イベントの内容で感動や喜びの価値を高め、販売促進やファン化を促すことが重要です。
以下では、経験価値の要素を明らかにした「戦略的経験モジュール(SEM)」、イベントの体験を向上させるイベント属性を示す「7つのI」を紹介します。
戦略的経験モジュール(SEM)|経験価値を高める要素
マーケティング研究者でありコロンビア大学教授のバーンド・H・シュミット氏は、顧客の感覚や感情、思考などに訴えかける「経験的マーケティング(Experiential Marketing)」を提唱しました。その中核的な概念が「戦略的経験モジュール(SEM)」です。
戦略的経験モジュールは、顧客の経験を要素として概念化したフレームワークです。戦略的経験モジュールの要素は下記の5つが挙げられています。
- Sence(感覚):五感に訴えかけて動機付けするモジュール
- Feel(感情):内面的な感情に訴えかけるモジュール
- Think(思考):知性に訴えかけて認知経験を創出するモジュール
- Act(行動):新たな方法やライフスタイルを示すモジュール
- Relate(共鳴):関係性の欲求を満たすモジュール
上記のモジュールは独立した要素ですが、互いに相乗効果を生むとされています。イベントを通じて経験価値を高めるために重要な要素となるため、イベント企画を立てる際に取り入れることが重要です。
参考:Bernd H. Schmitt「Experiential Marketing: A New Framework for Design and Communications」(1999年)
7つのI|体験を向上させるイベント属性
イギリスのリーズ・メトロポリタン大学に属するエマ・H・ウッド氏は、イベントの体験を向上させるためのイベント属性を提唱しています。下記の7つの属性を整理することで、イベントの経験価値を高めることができます。
- Involvement(関与):体験を通じて感情的に関与させる
- Interaction(交流): 直接的な交流を促す
- Immersion(没入):参加者の五感を体験に没入させる
- Intensity(強度):記憶に強く残るような高いインパクトを持たせる
- Individuality(独自性):参加者一人ひとりにユニークな機会を提供する
- Innovation(革新性):イベントの内容などで創造性を発揮する
- Integrity(誠実さ):イベント参加者に利益と価値を提供する
上記のイベント属性を踏まえてイベントの内容を工夫することで、参加者の経験価値を高め、特別な体験を通じて感動や喜びを与えることができます。
参考:Emma H. Wood「Evaluating Event Marketing: Experience or Outcome?」(2009)
イベントマーケティングの手法10選

イベントマーケティングの効果を高めるには、「戦略的経験モジュール」、「7つのI」などの要素を取り入れ、イベントの内容を工夫することが重要です。
以下では、イベントマーケティングに適したイベント手法10選を紹介します。
展示会
展示会は、共通のテーマに関係する商品、サービス、技術などをブースごとに紹介するイベントです。出展者が各ブースに分かれ、来場者に対して訴求することができます。
展示会の特徴は、温度感が高いホットリードに対して、対面で訴求できることです。双方の利害が一致しやすく、効果的にアピールすることができます。また、ブースで商品やサービスを体験することも可能で、五感で訴えかけることができる点もイベントマーケティングに適している理由の1つです。
展示会の目的・強み
- 効率的にホットリードと接点を持つことができる
- 参加者の生の声を聞いて所感を知れる
- 参加者に商品の質感や使用感を直接的に体験してもらえる
セミナー
セミナーは、特定のテーマについて専門的なノウハウを講義で学ぶイベントです。
学習意欲や向上心などが高く、ターゲット層を絞り込みやすいため、効率的にリードを獲得できることがポイントとなります。また、継続的にセミナーを実施することでナーチャリング(リード育成)が可能で、マーケティング効果が高いことも特徴です。
セミナーの目的・強み
- 専門的なテーマを設定することでターゲット層を絞り込める
- 継続することでナーチャリング(リード育成)が可能
- セミナーの質を高めることで信頼獲得につながる
周遊型イベント
周遊型イベントは、特定の地域や施設内を回遊し、スタンプラリーや謎解きなどを行う体験型のイベントです。
主催者側がチェックポイントを設定することができるため、意図した形で回遊性を高め、地域や施設の魅力を参加者に伝えられることが特徴となります。また、ゲームの要素を取り入れたゲーミフィケーション型のイベントとなるため、参加者が没入して楽しめることもポイントです。
周遊型イベントの目的・強み
- 地域や施設の回遊性を高めて観光スポットや店舗に誘導できる
- 地域や施設の滞在時間を延長してマーケティング効果を高められる
- ファミリー層を集客しやすい
ワークショップ
ワークショップは、参加者が実際にものづくりやゲームなどを体験するイベントです。ハンドメイドや伝統芸能、体験型ゲームなどが挙げられます。
参加者が五感で体験できるため没入しやすく、非日常的な体験を楽しめることがポイントとなります。また、体験を通じて思い入れや愛着が芽生え、好意的な感情にアプローチできることも特徴です。
ワークショップの目的・強み
- 子ども向けのワークショップを活用することでファミリー層に訴求できる
- 体験を通じて没入感が得られる
- 参加者に思い入れや愛着が芽生える
ポップアップイベント
ポップアップイベントは、特設会場を設置して期間限定で実施されるイベントです。商品販売や飲食物の提供などがおこなわれます。仮設店舗やキッチンカーなどの形式で特設会場を用意することで実施可能です。
ポップアップイベントは、場所や規模の自由度が高く、実験的な試みがしやすいことが特徴です。また、期間限定であることから希少性が生まれ、話題作りやトレンドの創出効果も見込めます。
ポップアップイベントの目的・強み
- 場所や規模、業態などの試験的な試みが可能
- 期間限定で希少性が生まれて話題性やトレンド性がある
- 対面でコミュニケーションを取りながら生の声をヒアリングできる
コラボイベント
コラボイベントは、特定の商品や知的財産(IP)などとコラボレーションして実施されるイベントです。さまざまな制約や契約条件があるため実施するためのハードルはやや高いですが、認知獲得や販売促進の効果が高いとされています。
特定の商品や知的財産(IP)のファンがイベントに参加するため、幅広い層に対して訴求できることがポイントとなります。また、イベントの拡散性が高く、口コミが広まることで認知の獲得につながりやすいことも特徴です。
コラボイベントの目的・強み
- 異なるファン層の集客が見込めるため幅広い客層にアプローチできる
- 拡散性が高く認知の獲得につなげやすい
- 商品や知的財産(IP)の権利者にもメリットがあり相乗効果が生まれる
スポーツイベント
スポーツイベントとは、ニュースポーツの体験会やプロチームの選手との交流会など、スポーツに関連するイベントを全般的に指します。
スポーツイベントのスポンサーとなることで自然に商品やサービスを訴求したり、認知を広げたりすることができます。また、スポーツの感動や熱狂と相乗効果が生まれるため、好意的なアプローチが可能なこともポイントです。
スポーツイベントの目的・強み
- スポンサーとして自然に商品やサービスを訴求できる
- PR効果が高くイベントの内容・様子がメディアを通じて広まりやすい
- スポーツを通じて好意的なアプローチが可能
音楽イベント
音楽イベントとは、ライブやコンサート、ミュージカルなどの音楽に関連するイベントです。
音楽イベントのスポンサーとなることで自然に商品やサービスを参加者に対してアプローチすることができます。また、若年層を中心とした若い世代へのアプローチがしやすいことも特徴です。
音楽イベントの目的・強み
- 若年層にリーチしやすい
- 感動や熱狂が生まれやすく経験価値が高い
- イベントでの交流が促進され盛り上がりやすい
自然体験イベント
自然体験イベントは、天体観測やキノコ狩り、トレッキングなどの自然との触れ合いが特徴となるイベントです。
自然との触れ合いは非日常的なリトリート体験となり、リフレッシュ効果が高いため満足度向上につながりやすいことがポイントとなります。また、スポンサーとして自然に商品やサービスを訴求できることも特徴です。
自然体験イベントの目的・強み
- 日常から離れてリフレッシュできるリトリート体験
- 自然との触れ合いを通じて精神的・心理的な満足度が高まりやすい
- イベントのスポンサーとして自然に商品・サービスを訴求できる
文化体験イベント
文化体験イベントは、伝統工芸品の製作体験や伝統芸能の鑑賞、お祭り・地域行事などの歴史的な文化を体験するイベントです。
文化体験を広めることにつながるため社会貢献度が高く、子どもから大人まで幅広い層の参加者を集められることがポイントとなります。また、非日常的な体験を通じて学びを深められることも特徴です。
文化体験イベントの目的・強み
- 幅広い年齢層の集客が期待できる
- 伝統工芸や伝統芸能などを体験するため学びの要素がある
- 伝統的な文化を広めて社会貢献につながる
イベントマーケティングの効果測定ができるフレームワーク

「7つのI」を提唱したエマ・H・ウッド氏は、イベントマーケティングの効果を測定するフレームワークを概念化しています。参加者体験、目的、成果に焦点を当て、下記の3つのレベルで効果を測定します。定量・定性で評価する必要があり、客観的に見ることが重要です。
【レベル1:イベント評価】
- 測定内容:参加者数、メディア露出、参加者の満足度など
【レベル2:消費者体験の評価】
- 測定内容:金銭的・精神的・認知的・心理的な価値からコストを引いた評価
※参加者が時間やコストを費やしてもそれを上回る感情的な価値が得られたか。
【レベル3:消費者の反応】
- 測定内容①:態度変容(体験の結果として知覚されるブランド価値や好意などの変化)
測定内容②:行動変容(購買行動、口コミ、他者への推奨や擁護、試用などの変化)
参考:Emma H. Wood「Evaluating Event Marketing: Experience or Outcome?」(2009)
イベントマーケティングのイベント企画例

以下では、イベントマーケティングに適したイベント企画例を紹介します。
謎解きコラボイベント
謎解きコラボイベントは、特定の商品や知的財産(IP)などを主体としたオリジナルの謎解きイベントです。
集合型の謎解きイベントでは会場や物品で世界観を表現可能で、参加者が没入感を持ちやすく経験価値が高まります。また、物販の販売促進効果が高く、ファンに対して感動や喜びを提供することで交流促進やブランドイメージの向上につながることも特徴です。
イベント事例:Dr.STONE体験型謎解きイベント|科学王国vs闇の科学王国、謎のアジトを攻略せよ
チャンバラ合戦
チャンバラ合戦は、スポンジ製の刀で腕につけた「命(ボール)」を落とし合う、合戦をテーマにした体験型アクティビティです。
戦略性とチームワークが求められる「軍議」と、熱狂的な「合戦」を繰り返し、子どもから大人まで一緒になって合戦体験をすることができます。施設のイベントスペースなどでの実施が可能で、参加者の全員が一体となって盛り上がれることが特徴です。
イベント事例:「チャンバラ合戦」岩手県おでんせプラザぐろーぶ様
周遊型謎解きゲーム
周遊型謎解きゲームは、商業施設や観光スポットなどを舞台として、チェックポイントを巡りながら謎を解く体験型アクティビティです。
特定の場所に留まらずに回遊を促せるため、認知度やブランドイメージの向上、施設の滞在時間延長などの効果が得られます。参加者が自身のペースでストーリーを進めていくなかで、その地域やブランドの歴史や魅力を発見し、理解を深めたり愛着を持てたりすることも特徴です。
イベント事例:「周遊型謎解きゲーム」荒川知水資料館様
防災ヒーロー入団試験
防災ヒーロー入団試験は、防災知識や技術を「遊び」として体験しながら学ぶことができるファミリー層向けの体験型アクティビティです。
水を使用する消火器体験や、即席で作れる新聞紙スリッパ体験、煙の下で屈んで移動する迷路、間違い探し、瓦礫転がしなどを通じて、防災に関する知識を得られることが特徴です。また、すべての体験項目がゲーム形式になっているため子どもが没入して主体的に取り組みやすく、防災意識を高められることもポイントになります。
防災には家族で一緒に取り組むことが重要で、地域防災の促進や地域貢献につながります。
イベント事例:「防災ヒーロー入団試験」ノクティプラザ溝の口様
水合戦
水合戦は、火縄銃型の水鉄砲を使い、相手の胸についた魂と呼ばれる的を狙う体験型アクティビティです。
圧倒的な爽快感とチームでの戦略性が魅力で、参加者が没入して楽しめます。また、戦国時代の世界観が表現され、非日常的な体験ができることもポイントとなります。
水を補給できる屋外であれば実施可能で、美術館・博物館などの施設や、公園、バーベキュー場などに適しています。
イベント事例:「水合戦」大宮競輪場様
まとめ

イベントマーケティングを実践することで、販売促進やファン化を促進させることができます。イベントにおける感動や喜びの要素を洗い出し、競合比較も取り入れながら、ユーザーが満足できるイベント企画を立てましょう。また、効果測定をして継続的に改善することも重要です。経験価値が高いイベントの実施に関しては、ぜひIKUSAにご相談ください。
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